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[はじめての調色]「人も色も別れの季節。。。」(塗料の分離・沈殿について)


いろいろな茶色
※こちらはイメージです

皆さんはこんな経験あるでしょうか?塗料を使ったら以前と使用感が違う?!なんか塗りづらい?じつはこの時期には分離や沈殿の現象が起きてるかもしれません!今回は塗料の分離・沈殿の現象についてお伝えいたします。


この記事の目次

<塗料の分離・沈殿について>

<その対策はあるの?>

<その他の注意点>

<まとめ>



<塗料の分離・沈殿現象について>

塗料の分離・沈殿とは?

一般的に

「分離」:分かれること、分け離すこと。特定の物質を分けて取り出すこと。

「沈殿」:液体中の微粒子が重力によって液体の底に沈む現象。

塗料においては塗料の成分である樹脂と顔料などが何らかの原因によって分離したり、顔料や添加剤が沈殿する現象をさします。


樹脂と顔料の分離
樹脂と顔料の分離(1)






塗料の分離・沈殿
樹脂と顔料の分離(2)


 塗料が分離・沈殿する原因

一般的に塗料は時間の経過や保管環境(温度変化や搬送や保管時の振動など)によって顔料や樹脂などの成分が分離し、容器の底に沈殿することがあります。これにより、塗料の色ムラ・色分かれや塗膜の性能低下につながる可能性があります。


塗料の色分かれ
塗料の分離・沈殿による色分れ


塗料の種類による現象の違い

塗料の分離・沈殿の現象は塗料の種類やメーカーによっても違いがあるようです。例えば、水性塗料は乾燥が早く、環境にやさしい塗料ですが、分離しやすいという特徴があります。油性塗料は水性に比べて分離しにくいですが、乾燥に時間がかかり、臭いも刺激臭があります。これは両者のもつ樹脂の特性や粘度が関係していると言われています。また溶媒である水(または水溶性アルコール)や溶剤類の影響もあるようです。



<その他対策はあるの?>

塗料の分離・沈殿を防ぐための対策

塗料の分離・沈殿を防ぐための対策としては「密閉・小分け・定期確認」などがあります。

「密閉」:塗料は、直射日光を避け、涼しい場所での密閉しての保管が良いとされています。液温の上昇防止や溶媒の保持が理由です。しかし冬場などで液温が低下することでも分離・沈殿の現象は起きてしますので注意が必要です。


「小分け」:大容量の塗料は使用頻度によっては長期にわたり使用することもあると思います。その場合、開封直後に小分けにしておくことで容器内の空気に触れる面積を少なくし、塗料の劣化を防ぐことができます。

経年劣化は分離・沈殿の現象の要因になるため小分け保存は効果的です。


「定期確認」:定期的に塗料の状態を確認し、分離・沈殿に気づいたらすぐに混ぜるようにしましょう。放置していた塗料は場合によってはどんなに攪拌をしても成分が混ざらなくなってしまうことがあります。その際は塗料の色や性能が著しく低下することになるので注意しましょう。



 分離・沈殿してしまった塗料の対処法

「よく混ぜる」:まずは使用前に塗料をしっかりと混ぜることが重要です。初期の段階では容器をよく振ることでも十分ですが、中期では棒やヘラなどを使用して、また後期では機械的なツール(ハンドミキサー)による攪拌が必要となります。


「再利用」:分離した塗料は性能が低下している可能性もあるため、重要な部分には使用しないようにしましょう。多少のリスクを考慮した上で、少量ずつ新しい塗料に混ぜて使ったり、目立たない部分に使用するなど工夫するのもよいでしょう。


「廃棄」:分離・沈殿がひどく、再利用が難しい場合は、適切な方法で廃棄しましょう。自治体の指示に従って廃棄してください。また販売店なででも廃棄のサービス(有償・無償ともにあり)をしている場合もありますので問い合わせてみるのもよいでしょう。


<その他の注意点>

こんな点にも注意

基本的なお話になりますが可能な限り、開封後は早期に使い切ることがベストになります。できるだけ必要量のご購入をお勧めします。



<まとめ>

今回のまとめ

いかがでしたか?塗料業界では「塗料は生ものだ」という言葉があります。じつは繊細な塗料。向き合い方ひとつで快適かつ安全に使っていただけるかと思います。それにしても世間ではもうすぐ卒業式シーズンですね。塗料も人も別れはつらいですが、新しい出会いや発見もあるかもしれません。想像したらワクワクしてしまうのは私だけでしょうか?ではでは。




 
社長の似顔絵

[記事を書いた吉田裕志について]


吉田裕志(よしだ ひろし) B型 職人気質

有限会社レインボーペイント代表取締役

調色歴20年、国家資格である単一等級調色技能士、一級塗装技能士を持ち、

今でも調色に情熱を注ぐ

座右の銘 「背中の汚れは調色マンの恥だ」









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